東京・駒沢で暮らす人々のライフスタイルに寄り添い、日常の一部となるカフェでありたいと、2021年11月にスタートを切った「YELLOW KOMAZAWA KOEN」。街の人が心地よく過ごせる、ちょうどいい距離感と使い勝手の裏側には、YELLOWチームのあたたかな思いやりで溢れていました。
「YELLOW」が描く、街のライフスタイルに溶け込んだカフェの姿
東京都世田谷区駒沢。渋谷から電車でわずか10分足らずという地にありながら、豊かな緑と教育環境に恵まれたこの街は、住宅地として幅広い層に人気のエリアです。
大型商業施設を有さない代わりに街の生活を支えるのは、さまざまなジャンルの個人商店。雑貨店、スポーツショップ、ペットショップ、ベーカリー、隠れ家レストラン……、そしてカフェもまた、人々に潤いを与えてくれる日常の大事なエッセンスのひとつ。
代沢に本店を構えるカフェ「YELLOW」が、新しくコーヒーとペイストリーをメインにした「YELLOW KOMAZAWA KOEN」を駒沢公園通り沿いにオープンしたのは、昨年11月でした。
オープンから約2ヶ月が経ったある冬晴れの日、店を訪れると、入り口の扉をサッと開けてお客様を招き入れるYELLOWの“キャプテン”・佐々木星也さんの姿が。同時に中からは、「こんにちは!」と明るいスタッフたちの声が聞こえてきます。
飲食店やサロンなどの建築デザインを手がける「877.inc」の自社ブランドのカフェとして立ち上がったのが、YELLOWの始まり。物件に惚れ込み2017年に代沢でスタートを切ったものの、そこは四方八方を住宅に囲まれた文字通りの住宅密集地で当初は人通りすらまばらだったといいます。
「お客様はご近所の方ばかりだったので、まずは長く愛されるお店になりたいという気持ちが一番でした。どうすればより喜んでいただけるか、また来たいと思っていただけるかを常にみんなで考えて、試行錯誤してきましたね」
お客様の生活リズムや店での過ごし方、何気ない会話から、何が求められているのかを拾い集め、実践してきたYELLOW。食事をメインにした昼からの営業時間を出勤前にも寄れる朝からに早めたり、席やテイクアウトカウンターを増減させたり。ハンバーガーにフレンチトースト、カレーなど、バリエーション豊かなメニューにもチャレンジしてきました。
そのYELLOWが、駒沢の街で新たな一歩を踏み出すに至ったのには、あるきっかけが。感染症の拡大によって社会が大きく変化した2019年、休業・営業の縮小を余儀なくされた代沢店で、コーヒーのテイクアウト営業を始めたときのことです。
「食事は一切お出ししていなかったにも関わらず、馴染みのお客様がたくさん来てくださったんです。息苦しい生活が続く中で、ほっと一息つく時間や、僕らとの他愛ない日常のひとときを楽しみに来てくださっていることが伝わりました。
それまでずっと、ただ喜んでもらいたい一心で街のお客様と向き合ってきたことが、皆さんの生活の小さな幸せにつながっていたのだと思うと嬉しくて。満足に営業ができない日が続き、YELLOWの役割とは何なのかと自問自答を繰り返す中で見えた、一筋の明るい光でした」
街で暮らす人々に豊かな時間を届けられる、日常の一部のカフェでありたい――。そう強く願うようになったといいます。
駒沢には駒沢のための「YELLOW」を、その人にはその人のためのサービスを
都内のさまざまなエリアを訪ね歩き、“YELLOWが街のライフスタイルに溶け込んだ姿”を叶える新しい場所として心を動かされたのが駒沢でした。
大きな公園や賑やかな大学があるこのエリアは、風景こそ代沢と違えど、やはり日常の暮らしが息づく街。毎朝早くからトレーニングに勤しむランナーがいたり、散歩を楽しむご老人やペット連れがいたり、毎日同じルートを通う学生、子どもと一緒に公園を訪れるファミリーなど、“いつもの顔ぶれ”が多く行き交う、まさに生活圏です。
代沢店のお客様の中には、出産や子どもの成長を機に、次のライフステージとして駒沢を選ぶ人が多かったことも後押しになり、ここで新たなYELLOWのコミュニティを築いていきたいという想いに駆られたのだそう。
「今僕たちがスタッフ全員で大切にしていることは、その街で暮らす人・訪れる人の生活に寄り添うこと。街が変われば住む人の生活スタイルやリズムが変わり、求められるものも違います。代沢と同じことをするという選択肢はなくて、内装もメニューも、駒沢で暮らす方々のためのものにしたいと思っていました」
YELLOW KOMAZAWA KOENはその名の通り、すぐ裏手が駒沢オリンピック公園という絶好のロケーションにあります。メニューは公園に持って行って楽しめることはもちろんのこと、通勤・通学路として駒沢公園通りを使う学生やワーカー、ロードバイカーまで誰もが手に取りやすいものを、アイディアを出し合いラインナップ。
フードには、ワンハンドで楽しめる焼き菓子やサンドイッチなどのペイストリーを。毎日、自慢の専任パティシエが店内で焼き上げ、甘いものだけでなく駒沢店限定の食事系サンドイッチも並びます。
コーヒーは、シングルオリジンのドリップコーヒーや、ペイストリーとのペアリングを考えた新たなYELLOWオリジナルブレンドのエスプレッソドリンクをそろえました。グランドオープンの前には実際にロースターと共に公園へ行き、お客様と同じシチュエーションでコーヒーをテイスティングしながら、より美味しく味わえる配合を最後の最後まで突き詰めたというこだわりよう。「ご自身のライフスタイルを確立されているお客様が多い街ということもあり、フードもコーヒーもクオリティに妥協はありません」(佐々木さん)。
もちろん店内のカフェスペースも、駒沢のためのデザインです。小さなお子さまと並んで座れる低めのベンチを備えたり、ペット同伴の需要に応えながらも、一般の客席との間に仕切りを設けることでお互いが気持ちよく過ごせるよう工夫したり。街で暮らす人たちが『あったらいいな』と思うものをさまざまな角度で叶えてくれるYELLOW。
そんな団結したチームワークや細やかな気配りは、早くも街で暮らす人々にも届き始めているようです。
この日、YELLOWで同じ時を共有していたのは、思い思いに自分の時間を過ごすお客様たちの姿でした。ひとりのリフレッシュタイムを楽しむ人、仕事の合間に食事に訪れた人、スタッフとの会話に花を咲かせる人。目的は異なるはずなのに、不思議なほどに皆がとても心地よさそう。
「お客様への想いも同じです。10人のお客様がいらっしゃれば、求めているものは10人とも違います。だから、すべてのお客様に一律で同じサービスをしても、『来てよかった、また来たい』と思ってもらえるような満たされた時間はお届けできないと思うんです。
ご近所でいつも来てくださる方とSNSを見て遠くから足を運んでくださる方、コーヒーが好きな方とお目当てのスイーツがある方、ひとりの時間をゆっくり過ごしたい方と友達や家族との会話を楽しみたい方……。それぞれのお客様の表情や言葉などから、『この方は何を楽しみに来てくださっているのか』『自分がお客様の立場だったら、何をしてくれたら嬉しいか』を感じ取って、声のかけ方・タイミング、接し方を変えています。それはスタッフみんなで大切にしていることです」
時には思うようにいかないこともあるといいますが、だからこそ、営業後にはその日の出来事や感じたことを互いに話し合い、解決策やよりよいアイデアを共有することでチーム全体でステップアップできるよう努めているのだそう。YELLOWのスタッフにとって大切なことは、接客の経験年数やバリスタとしての技術よりも、「お客様を喜ばせたい」という気持ちなのだと、佐々木“キャプテン”は教えてくれました。
期待の一歩上へ。幸せを届けるための引き出しは、ひとつでも多いほうがいい
最後に、駒沢の街で描くこれからのYELLOWの姿を聞いてみると、佐々木さんからはこんな答えが。
「“YELLOWに来たら、明るい気持ちになる”。そんな店になりたいという気持ちは変わりません。コーヒーや焼き菓子、内装デザイン、そして接客も、すべてはお客様の日常に豊かな時間をお届けするために僕らがそろえられるパーツみたいなもの。その引き出しはひとつでも多く、よいものであるほうがいいと思うから、すべてのクオリティをみんなで高めていきたい。
何かひとつのことを目的に来られた方に、別のものでも喜んでもらえるよう頑張っていきたいですね。美味しいコーヒーを飲みに来たけど接客もいいじゃんとか、スイーツを食べに来たけど居心地最高!とか。 期待に応えて、さらにそれを上回る。それができれば、より大きな幸せを届けられるのかなと思っています」
街には街の色があるように、カフェにもそれぞれの店の色があります。街の暮らし、そしてひとりひとりのお客様に寄り添うことこそ、YELLOWのカラー。駒沢に住んでいない人も、ぜひ一度、駒沢公園通り沿いのガラス扉を開けてみてください。暮らしの一部にYELLOWがあるこの街が、うらやましくなるはずです。
◆YELLOW KOMAZAWA KOEN
住所:東京都世田谷区駒沢5-19-10
TEL:03-5760-6726
営業時間:8:00〜17:00
定休日:月曜
HP :https://instagram.com/YELLOWkomazawakoen
CafeSnap みんなの投稿>>https://cafesnap.me/c/15756
取材・写真・文 RIN