Discover Coffeeをコンセプトにした丸山珈琲の新店舗、表参道 Single Origin Storeが9月23日にオープンしました!
丸山珈琲は1991年に軽井沢で創業したスペシャルティコーヒー専門店。代表の丸山健太郎氏は一年のうち約半分を海外で過ごし、世界中で開かれるコーヒーの品評会(テイスティングして評価する会)や農園を訪れることで、他店にはないコーヒー豆を直接買い付けています。
生産者の顔を見ながらシングルオリジンコーヒーを選べる
軽井沢や東京で10店舗を構える丸山珈琲。表参道 Single Origin Storeの最大の特徴は、シングルオリジンコーヒーと呼ばれる“ひとつの産地(農園やさらに細かい一区画)”で収穫されたコーヒーのみを扱っていることです。ワインでいえば産地によってブドウの味が違うように、コーヒーも産地によって味が異なります。“産地で作られる味”をブレンドせず、ストレートで楽しめるのがシングルオリジンコーヒーの魅力です。
一般的に、産地名を表記してシングルオリジンコーヒーを販売する店が多い中、丸山珈琲ではコーヒーを作る“生産者”にフォーカス。彼らの名前や顔写真が分かるディスプレイを置き、“生産者とコーヒーの情報”を見ながら豆を購入することができます。
農園の小屋をイメージしたヨーロピアンな雰囲気のカフェ
2階のカフェでは、バリスタチャンピオンシップなど各競技会のファイナリストをはじめトップクラスのバリスタがコーヒーを提供。店内は木のぬくもりと鮮やかなグリーンがあり、軽井沢の別荘にいるかのよう!
丸山氏曰く、カフェスペースの内装は、農園の生産者が収穫期に作業をする作業をする山小屋をイメージしたとのこと。山小屋は、スペインやポルトガルなどヨーロッパの建物の雰囲気があるため、2階のカフェではヨーロッパの食器を使用しています。
ここからは、CafeSnapの大井が代表の丸山健太郎氏にお話を伺いました。
大井:オープンおめでとうございます。改めて表参道店のコンセプトを教えていただけますか?
丸山さん:表参道店は2017年の4月から始めた「Discover Coffee」プロジェクトのコンセプトショップで、“コーヒー豆生産者との出会い”をテーマにしています。
コーヒーの味は、生産者の人柄の数だけある
大井:一般的なコーヒー店では、ブラジルやエチオピアなどの産地名からコーヒーを選ぶことが多いですが、こちらでは生産者の名前や顔を押し出していますよね。どうして、このようなディスプレイにされたのでしょうか?
丸山さん:コーヒーは人が作っていて、いま飲んでいるコーヒーの背景には人がいることを伝えたかったからです。大小さまざまな農園が世界中にあって、それぞれの農園主が信じる考え方とやり方でコーヒーを作っています。
丸山さん:「コーヒー生産者は貧しくてかわいそう」というイメージを持っている人がいるかもしれませんが、彼らは“最高のコーヒーを作る”というエネルギーに満ち溢れています。私はワインの生産者にも負けないくらいカッコよくて、尊敬できる人たちだと思っていて、「コーヒーを作っている個人に、こんな素晴らしい人がいるんだ」ということを多くの方に知っていただきたかったんです。
生産者の人柄の数だけコーヒーの味はある。それを伝えるために、ウェブサイトや店頭でお配りしている冊子を含めて、生産者にフォーカスすることにしました。
新たな方法で “生産者のストーリー”を伝えたい
大井:ウェブサイトを拝見したのですが、まるで映画のように美しい映像もつくられていますよね。どうしてあの映像は作られたのでしょうか?
丸山さん:私は25年以上、丸山珈琲をやってきた中で、自分が農園を訪れたり、世界中のコーヒー品評会に参加して豆を買い付けていることをたくさんお話してきたつもりでした。ただ少し前に、コーヒー業界の人ではない方と話をしたとき「丸山珈琲はおしゃれカフェの一つ」という印象しか持たれていないことを知って、正直、悲しい気持ちになりました。ならば、これまでとは違う方法で“伝えよう”とDiscover Coffeeプロジェクトを始めたんです。
Discover Coffeeプロジェクトの映像や写真は、国内外のモード誌で活躍されているファッションカメラマンの笹口悦民さんにお願いしています。笹口さんは、生産者をとてもセクシー撮ってくださるんですよ! 別業界の方のお力もお借りすることで、生産者の情熱と人間としての魅力を伝えたかったんです。そして、この写真は10月1日(日)までですが、表参道駅の構内や地下通路の広告枠を抑えて、たくさんの方に見ていただけるようにしました。
大井:すごいですね!
ファイナリストに選ばれたトップバリスタがコーヒーを提供
大井:2階のカフェにはコーヒーの競技会でファイナリストになったバリスタがいらっしゃると聞きました。
丸山さん:はい、日本や世界の大会でファイナリストに選ばれたバリスタが常時1人はいて、フレンチプレスのコーヒーとエスプレッソドリンクをお作りします。また、サイフォニストがいるときのみ、サイフォンコーヒーもお出しします。
丸山さん:豆を購入したいというお客様には、バリスタが生産者の想いをお伝えし、豆のコンシェルジュとなってお客様にあったコーヒーをセレクトします。
大井:丸山さんが厳選されたこだわりのコーヒーがあるわけですが、コーヒーに詳しくない人が来ても大丈夫でしょうか? バリスタはどんな風にコーヒーを選んでくれるのですか?
丸山さん:もちろんです。バリスタたちは店舗だけでなく百貨店などで、“純粋にコーヒーが好き”というお客様ともたくさん話をしています。表参道店では、あえてコーヒーを紹介するためのルールは設けず、各バリスタに任せています。それぞれのバリスタの個性が光るプレゼンテーション(説明)を楽しんでいただけたらと思います。
大井:最後に表参道店に並んでいる中で、丸山さんが特に想い入れがあるコーヒーを教えてください。
丸山さん:表参道限定で扱っているケニアです。3種類あるのですが、中でもケニア ニエリ・ヒル ピーベリーですね。ここは小さな農園が集まり、地域組合でコーヒーを作っています。非常にクオリティが高く、私は90点以上を付けました。グレープやブラッドオレンジ、ジャスミンの風味があり、ベルベットのような質感とジューシーで華やかな味わいが魅力です。2017年のホンジュラスのカップオブエクセレンス(COE)で1位を獲得し、史上最高価格で落札したホンジュラスの“オスカー・ラミレス” も表参道店特別先行販売なのでぜひ味わっていただきたいです。
大井:ありがとうございました!
表参道
Single Origin
Store
住所:東京都港区南青山3-14-28
電話番号:03-6447-5238
営業時間 : 10:00〜21:00
定休日 : なし
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◆Discover Coffee
http://www.discover-maruyamacoffee.com/
◆CafeSnapインタビュー記事 (2017年2月公開)
・創業26年、さらなる成長と変化で躍進する丸山珈琲(Vol.1)>>
・丸山珈琲のはじまりと当時のコーヒー文化(Vol.2)
・スペシャルティコーヒー・第一世代が知った感動と葛藤(Vol.3)
・丸山さんが世界規模でコーヒーを考える理由(Vol.4)
・コーヒー業界と丸山珈琲のこれから(Vol.5)
Interview&Writing:Ayako Oi
Photo:Kumiko Nakakuki