横浜・日本大通り界隈には、神奈川県庁や横浜開港資料館(旧館)など、昭和初期に建造された歴史的建造物が残っており、現在も活用しながら保存されています。

そんな歴史的建造物の一角で営業しているのが「CAFE de la PRESSE(カフェドゥラプレス)」です。一歩足を踏み入れると、そこは古き良きフランスのカフェ。横浜にいながらフランスへ旅した気分が味わえます。

 

歴史的建造物を利用したカフェドゥラプレス

カフェドゥラプレスが入っているのは、1929年に横浜市が建設した旧横浜商工奨励館という建物の2階。現在は日本新聞博物館(ニュースパーク)や放送ライブラリーなどを備えた複合施設・横浜情報文化センターとして活用されています。

旧横浜商工奨励館は、1923年に発生した関東大震災後の復興のシンボル。商業発展の中心地となるべく、当時の最先端であるアール・デコの影響を受けたデザインが随所に施されているのが特徴です。

「天井のはりや柱は、竣工当時のままなんですよ」と、教えてくれたのは同店代表の日比生 猛(ひびお たけし)さん。どのような経緯で歴史的建造物にカフェがオープンしたのか伺いました。

代表の日比生 猛さん。1階のミュージックレストラン『アルテリーベ』のシェフも務めています

「オープンしたのは2000年です。新館が造られ横浜情報文化センターとして開館するのに合わせて、父が1965年から経営していたミュージックレストラン『アルテリーベ』が1階にリニューアルオープンすることになっていました。その際、2階のカフェスペースの運営も任せていただくことになったのです」と、日比生さんは振り返ります。

 

リヨン駅の中にあるレストラン「ル・トラン・ブルー」を参考に

1階のアルテリーベのインテリアは、建物が竣工した1930年代のオーストリア・ウィーンの芸術様式で統一されているのに対し、カフェドゥラプレスのそれは1930年代のフランスのカフェをモチーフとしています。これは日比生さんがフランスで生まれ、6歳まで過ごしたことが大きいようです。

「母は現地でフランス料理を学び、日本に帰国してから料理教室を40年以上続けました。私も母の影響を多分に受けてフランスに興味を持ち、交換留学で再びフランスへ渡り、ルーアンの大学院を卒業するにいたりました。1998年にアルテリーベのリニューアルを手伝うことになり、帰国したのです」

しかし、リニューアルオープンの直前にお父さんが他界。28歳だった日比生さんが2店舗の経営を任されることになったのです。2店舗開業するにあたり、インテリアからメニューまで大変なことも多かったそうですが、なんとか若さでのりきったと日比生さん。

「今でこそ、インターネットで簡単に海外とやり取りできますが、20年前は直接、電話やFAXで連絡を取り合うしかなかったので、フランス語が話せたことは大きかった」と言います。

素材がバージョンアップした、クロックマダム(税込1300円)。全粒粉を使った自家製パンと自家製ロースハム、フランス産チーズの上に赤卵の目玉焼きがオン

カフェドゥラプレスのインテリアや食器はフランスやヨーロッパから取り寄せ、スズ製のカウンターもフランスでオーダーメードしたもの。店の雰囲気は、フランス・リヨン駅の中にある宮殿のようなレストラン「ル・トラン・ブルー」を参考にしたそう。

「ル・トラン・ブルー」が描かれている絵画(上)は、2019年にSNSで知り合った画家から購入

「あちらに描かれています」と、日比生さんが示す絵画には、なるほど、似たような雰囲気のお店が描かれています。よく見渡してみると、店内にはさまざまな絵画が飾ってあり、プチ・ミュージアムのよう。

日比生さんが店内の雰囲気に合うものを買い集めたのだとか

 

クラシカルなマシンで淹れる「記者たちのカフェ」

自慢のスズ製のカウンターの奥に鎮座するエスプレッソマシンは「Bell Epoque(ベルエポック)P1」というイタリア製のもの。美術品のようなデザインは、店内のクラシカルな雰囲気にピッタリです。

「この存在感あるマシンで淹れるエスプレッソ、おいしそうに感じませんか? 唯一の難点は……、クラシックカーのように時々故障することでしょうか」と、日比生さんは苦笑いします。

カフェドゥラプレスには、オープン時から続くドリンクメニューがあります。それは「記者たちのカフェ」。ダブルエスプレッソとミルクフォームが別々のピッチャーでサーブされ、好みのスタイルでカップに注いでいただきます。

建物内に日本新聞博物館(ニュースパーク)があることから、「パリの気難しい記者たちが好きなように飲めるエスプレッソ」をイメージして考案したとのこと。

記者たちのカフェ(税込800円) カップに自分でエスプレッソやミルクを注いでいただきます

同じくオープン時からのメニューとして、「弁護士たちのカフェ(ブレンドコーヒー&エッグリキュール)」「裁判官たちのカフェ(ブレンドコーヒー&オレンジリキュール)」もあります。これは、日本大通りに裁判所があるから。

エスプレッソに使うコーヒー豆は、1928年に横浜・馬車道に創業した「キャラバンコーヒー」のもの。建物と同じ、古き良き横浜つながりです。

紅茶は150年の歴史を持つ、ロシア皇帝に愛された「KUSUMI TEA(クスミティー)」のもので、フランスを代表するプレミアムティーメゾンです。ブレンドティーやダージリン、ノンカフェインなどが用意されており、茶葉の香りを試して選ぶことができます。

 

人気の「モンプディング」は本格派フランス菓子と思いきや、オリジナル創作菓子!

マカロン(6種 各税込240円)

カフェドゥラプレスでは、マカロンやクリームブリュレ、土日限定のフランといった伝統的なフランス菓子のほか、ザッハトルテ、カルディナールシュニッテンといったウイーンの伝統菓子を提供しています。

人気の「モンプディング」もてっきりヨーロッパの伝統菓子かと思いきや、「ああ、それは私が創作したお菓子です」と、日比生さん。「Monはフランス語で私。私のプディングです(笑)」

モンプディング(税込420円)、記者たちのカフェとともに

クリームブリュレのようになめらかなプリンの上に、カラメルのジュレがのっていて、混ぜるとプリンのような味わいに。混ぜても、混ぜなくてもおいしい、好きなように食べられる珍しいプリンです。

自宅でもカフェドゥラプレスのお菓子を楽しんで欲しいとの思いから、ギフト用のスイーツの種類を強化していて、「ショコラテリーヌ サンマルタン」は、フランスカリブ諸島サンマルタン原産のカカオ豆が香る、クルミのリキュールを使った大人のテリーヌ。カフェでもピースがいただけます。

ショコラテリーヌ(税込500円)

秋が深まると、日本通りのイチョウ並木が黄色く変化して、窓から見える景色が一変するカフェドゥラプレス。季節が変わるごとに訪れたい、「Mon」カフェです。

 

◆CAFE de la PRESSE(カフェドゥラプレス)
住所:横浜市中区日本大通11 情報文化センター2階
営業時間:10:00~19:00
神奈川県の要請により新型コロナウイルス感染症対策として、19:00までの時短営業。また営業日を木~日の4日間のみに限定
HP:https://alteliebe.co.jp/cafedelapresse
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