関西国際空港から電車で約20分。大阪・泉南エリアに2020年にオープンした「BARBARA COFFEE」は、抽出方法を選べるコーヒーと色鮮やかなドーナツ、ヴィンテージテイストの空間で、瞬く間に街のアイコンになったカフェです。一人ひとりのお客様を大事にし、地域の人やものを繋げるために奔走するオーナーの羽原さんが、この場所を作った理由から地域活性化にかける想いを伺いました。
キャンプとヴィンテージ好きのオーナーが地元に作った“自分が行きたいカフェ”
JR阪和線沿いにある、和泉砂川駅。2020年11月、昔ながらのお店が立ち並ぶ駅前に、「BARBARA COFFEE」はオープンしました。
まるでアメリカ映画に登場するような外観、木目調をベースにした店内にはヴィンテージショップで購入したランプや薪ストーブ、植物のグリーンが。キャンプとヴィンテージが好きな羽原さんがLIFE WORKSと一緒にこだわりぬいた空間が広がります。
「この地域に幼いころから住んでいることもあって、自分が『行きたい』と思うおしゃれなお店を作りたかったんです。」」選び抜かれたインテリアやデザイン一つひとつが、羽原さんが求めていた理想の空間を作り出しています。
キャンプで飲んだコーヒーが、カフェオープンにつながる道の始まり
昔からぼんやりと「自分のお店を持ちたい」と思っていたけれど、具体的にどんな店なのかはイメージがなかったという羽原さん。
そんな彼女がカフェオープンにつながるコーヒーに目覚めたのが、趣味で始めたキャンプです。「抜群のロケーションの中で、朝に淹れたてのコーヒーを飲むのが幸せで! 最高に美味しいんです。それで、『もっとコーヒーのことが知りたい。この喜びをたくさんの人に届けたい』と感じたことが、このお店を出すきっかけだったんだと思います。」
そこから、修行のため自家焙煎コーヒーを提供する和歌山県のカフェ「favorite coffee」に入り、コーヒーの淹れ方やお菓子の作り方など、店舗運営の基礎を学びました。
「自分が淹れたコーヒーで、もっとたくさんの人を幸せにしたい」とBARBARA COFFEEをオープン
「いつかお店を出したい」と思っていた羽原さんは、favorite coffeeで働き始めて2年が経った頃、車でコーヒーの移動販売を始めます。
キャンプ場のイベントや近くの雑貨屋さん……、月に1~2回、お気に入りのクラシックカーで出向き、ハンドドリップで淹れたてのコーヒーを提供。自分がいれたコーヒーを飲んで喜んでくださるお客様の表情を見るたびに、自分の店を出したいという想いが募っていきました。
しかし、そんなさなかに蔓延した、新型コロナウイルス。「今カフェをオープンすべきか……。やりたいけれど、どうしよう」と悩んでいる間に、勤めていた店が長期休業になったことで、「このタイミングしかない」と一念発起。準備をスタートさせ、半年も経たない2020年11月にBARBARA COFFEEをオープンしました。
「コーヒーっておもしろい」を伝えたい、豊富な抽出方法から選べるメニュー
BARBARA COFFEEの店内を見渡すと、サイフォンや、ネルドリップの抽出器具、グラインダーなど、コーヒー好きが目を輝かせる器具がずらりと揃っています。
車で移動販売をしていたときは、ハンドドリップでしかコーヒーを提供できなかったので、自分の店を持ったら、様々な抽出方法で提供できるようにしたい、と豊富な器具を買いそろえたとのこと。
くわえて「せっかくお店に来てくださっているので、お客様が家ではなかなか淹れられないコーヒーをお出ししたい。コーヒーにはこれだけたくさんの種類があって、選べる楽しさがあることを知ってもらいたいです。」と羽原さん。
器具を知り、淹れる様子を見て、味の違いを楽しんでもらう。「コーヒーっておもしろい、ということをたくさんの方に伝えることができたら嬉しい」、と羽原さんは言います。
コーヒーと“何か”を繋ぐことで、泉南地域を盛り上げたい
羽原さんがお店をオープンするうえで、意識したことの1つが、生まれ育った街の“地域活性化です。
「コンセプトとして掲げているのは“コーヒーと何かを繋ぐこと”。ただコーヒーやスイーツを提供するカフェだけでなく、地域や人を繋ぐコミュニティを作りたい。それを続ければ、いろんなお店が増えて、もっと街が活性化するのでは。」 そんな羽原さんの想いは、少しずつ形になり始めています。
そのひとつが「いつか映画館を運営したい」という夢を持つスタッフ主催で開催した映画の上映会。映画が終わったあと、ひとりで参加されていた方同士が楽しそうに談笑されているのを見て「私のやりたかったことはこれだ!」と実感したそう。
「この場所を通して、人と人の交流が増え、縁を繋ぐ機会が増やせたら。そんなきっかけをこれからもたくさん提供できるようにしたい。」羽原さんの言葉には力強さが感じられます。
また、提供するフードやスイーツもローカルの食材を意識。トマトやズッキーニなどの野菜や、桃、みかんなどの果物まで、泉州地域や近隣の和歌山県で作られたものを積極的に採用しています。「地産地消にこだわることで、地域活性化の一歩にしたい」と羽原さんは考えています。
時間と手間を惜しまず作る、看板メニューのドーナツ
BARBARA COFFEEのもう1つの看板メニューがドーナツ。ふわふわとした生地にもっちりとした食感が魅力的で、開店前から並んで購入する方もいるほどの人気商品です。
チョコやシュガーなどの定番メニューから、季節のお花やイベントをイメージした限定メニューなど、様々な味を楽しめるドーナツですが、実は提供するまでにはかなりの試行錯誤があったそう。
というのも、初めてドーナツに挑戦したのは2年前。「普通じゃつまらない」と考えて、最初はおからドーナツを作ったものの、納得いく味にならない……。そこから材料を変えたり分量を変えたり試していくことは想像以上に大変で、一度は諦めたそうですが、コーヒーとの相性や見た目、美味しさを考えると、「やはりドーナツを提供したい」と気持ちが再燃したとのこと。
その結果生まれたのが、今や行列ができるほど人気のドーナツです。「もっと簡単に作る方法はいくらでもあります。それでも、1番美味しく作れる方法で提供したいんです。」その言葉には、羽原さんのこだわりとお客様への愛情が感じられます。
「また来たい!」が励みに、お客様を元気にする笑顔と挨拶
カフェを運営する中で、とにかく笑顔で挨拶することを大切に、スタッフにも徹底するように伝えているという羽原さん。文字にすると、ありきたりの回答かもしれませんが、実際にお店に訪れてみると、たくさんのお客様がいて忙しい中でも、一人ひとりに声をかけ、満面の笑顔で出迎えてもらえ、その言葉に嘘がないことがわかります。
「お客様がお帰りになる時に『ありがとう!元気になったよ』 『もう既にまた来たい!』と言ってもらえることが多くて。中には『今日私は行けませんが、その笑顔で他のお客さんを癒してくださいね』とSNSでメッセージをくれる方もいらっしゃいます。」
「私たちの中では当たり前に行っていることですが、そんな存在になれているのかなと考えると嬉しいです。日々の運営に追われて『疲れたな』と思う時も正直あるのですが、お客様からの一言が何よりも嬉しくて、モチベーションに繋がります。」と朗らかな笑顔を見せてくれました。
BARBARA COFFEEの魅力は、抽出にこだわったコーヒーや手間暇かけて作るドーナツ、そしてなんといっても人の温かさ。笑顔で迎えて声掛けをしてくれる羽原さんをはじめスタッフの方の姿を見ていると、何度も足を運びたくなる理由が伝わってきます。
◆BARBARA COFFEE
住所:大阪府泉南市信達牧野202
営業時間:11:00〜17:00
定休日:日・月
Instagram: https://www.instagram.com/barbara_coffee
CafeSnapみんなの投稿:https://cafesnap.me/c/1535