昭和の喫茶店で使われていた家具やうつわなどを引き取り、喫茶店やレトロなインテリアが好きな人に販売する……そんな店があるのをご存知でしょうか。西荻窪にある「喫茶 村田商會(むらたしょうかい)」は、喫茶店が大好きで全国約2000店を巡った店主が営む喫茶店。店をオープンした経緯や、お店のこだわりについて伺ってきました。

 

喫茶店の家具やうつわを引き取って販売する「村田商會」

西荻窪駅から徒歩5分、45年もの間親しまれていた老舗喫茶店「喫茶POT」があった場所に、2018年「喫茶 村田商會」がオープンしました。

大きな窓からたっぷりと陽光が射し込む店内には、クラッシックなどの音楽がゆるやかに流れ、喫茶POTから引き継いだ家具や雑貨などが配されています。経年で飴色に変化した椅子は手触りがよく、ほっとする座り心地。

店頭に並ぶ、たくさんのお皿やグラスたち。まるで宝探しをしているような気分

店名にある「村田商會」というのは、なんだか少し喫茶店らしくない名前。というのも、これはもともと店主が手がけていた“別の事業の屋号”。閉店した喫茶店の家具や食器などを引き取って、販売するオンラインショップ事業を行っていました。

そのため喫茶 村田商會の店頭には家具やうつわ、カトラリーなど、商品の一部が並べられています。

 

好きだったからこそ見出せた、喫茶店家具の価値

現在40歳の店主 村田龍一さんが、初めて喫茶店に心を奪われたのは、大学一年生のとき。アルバイト先の先輩に連れられ、当時中野にあった名曲喫茶「クラシック」を訪れたのがきっかけでした。

古い扉を開け、薄暗い店内に足を踏み入れた瞬間、まるで異世界に来たかのような感覚に。「戦後すぐに作られたお店で、床も斜めになっていたりするようなところに、たくさんの人が来ていて。それにも驚きました」。

その日を境に喫茶店巡りを始め、全国47都道府県にある2000店以上の喫茶店に足を運んだそう。「喫茶店はどれも個性的で、ひとつとして同じようなお店がないのが魅力」と語る、村田さん。

そんなある日、今月末に閉店するという喫茶店と出会い、「テーブルや椅子は引き取り手がないため全部捨てる」という話を耳にします。喫茶店の家具は凝った装飾が施された“一点モノ”も多い反面、経年劣化などで一般的なリサイクルショップや骨董品店では引き取ってもらえないのだそう。

「捨てられてしまうのはもったいない。喫茶店やレトロなものが好きな人の中には、欲しいと思う人もきっといるはず」と考えた村田さんは、家具を自分に譲ってもらうよう提案。後日オンラインショップを立ち上げ、それらの家具を販売したことが、村田商會の第一歩となりました。

 

長く愛されてきた“喫茶店の結晶”を次へ繋ぐ

現在日本では、昭和に巻き起こった“喫茶店ブーム”を牽引してきた人々の高齢化や、大手チェーン店の台頭などで、幕を下ろす喫茶店が年々増えています。「なくなっていく喫茶店のすべては残せませんが、少しでも“喫茶店の結晶のようなもの”をバトンタッチしていけたら」と話す、村田さん。

引き取った家具は村田さん自ら丹念に清掃し、がたつきなどがあれば修繕も行います。自身の自宅でも喫茶店家具を長年愛用していて、買う側の気持ちもよくわかるのでしょう。そういった丁寧な仕事から、村田さんの誠実さや真面目さ、喫茶店家具を大切にする真摯な気持ちが伝わってきます。

「新しいもの、きれいなものに価値があるという価値観もありますが、使い古されたものにしかない味わいや親しみもある」。ものが溢れる時代だからこそ、長年使われてきたものが持つ魅力に、人は惹かれたり、癒されたりするのかもしれません。

そんな村田さんが自分の喫茶店を開くことになったのは突然のこと。いつものように家具を引き取りに来た「喫茶POT」で、その場にいた常連客やマスターとの話の流れから、お店自体を引き継ぐことになったのだそう。

「いつかは喫茶店のマスターになりたいとは思っていましたが、こんなに早くそのタイミングが来るなんて。でもずっと憧れていたので、やってみようと思いました」と、当時の胸の内を笑いながら打ち明けてくれました。

喫茶店愛あふれる村田さんが作る、こだわりのメニュー

マスターになる準備はしていなかった村田さんですが、喫茶店で食べたメニューを再現したり、いろんなお店でコーヒー豆を買って淹れたりすることは、趣味でよくしていたそう。

これまで訪れたお店のなかで特に印象に残っている味や盛り付けを参考に、メニューや調理法を考案。喫茶POT時代からの常連客はもちろん、新規で訪れたお客さんからも好評です。

なかでも人気があるのが「ナポリタン(650円)」。爽やかな酸味が魅力で、これからの季節にもぴったり。

麺は一般的なパスタのほか、なんとうどんも選べます。一見ボリュームはありますが、不思議とするする食べられる満足感の高い一品。

デザートには一日限定8食の「プリンアラモード(650円)」もオススメ。自家製プリンには有精卵や低温殺菌牛乳、甜菜糖など、厳選した材料を使用しています。

日によっては夕方くらいに完売することもあるため、気になる方はぜひ早めの時間帯に訪れてみてください。

注文を受けてから一杯一杯ハンドドリップで淹れる「ブレンド珈琲(500円)」は、ほどよい苦みと甘みのある喫茶店らしい味わい。

「喫茶POT」から受け継がれたカップ&ソーサーから、この場所で積み重ねられてきた歳月の豊かさを感じます。

上記の他にも、喫茶店らしさを感じる軽食やドリンク、自家製ケーキなど、メニューも豊富に用意されています。

店頭に並ぶレトロなうつわやカトラリーで宝探し気分を楽しみつつ、心安らぐ空間でゆっくりと過ごしてみてはいかがでしょうか。

 

◆喫茶 村田商會
住所:東京都杉並区西荻北3-22-17
営業時間:12:00〜19:00
定休日:月、火曜(祝日の場合は変更する可能性あり)
HP:https://muratashokai.theshop.jp
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