おうちで過ごす時間が増えたことをきっかけに、読書に興味を持った方も多いのではないでしょうか。今回は、“本のエキスパート”でもあるブックカフェの店主から、気分転換にオススメの「心がスッキリする本」を教えてもらいました!

好奇心をくすぐるものから、暮らしや人生に新しいヒントを与えてくれるもの、爽快な読後感が楽しめるものなど、多彩なラインナップになっています。ぜひ本選びの参考にしてください。

コンビニ人間 著:村田沙耶香

食事は3食コンビニ。コンビニのために寝て起きる日々をおくる、古倉恵子、36歳、コンビニバイト歴18年。婚活中の男性、白羽がアルバイトに加わり、恵子の日々に変化が起きる。第155回芥川賞受賞作。

「当たり前と思われていることがそう思えなかったり、みんなができることができなかったり。世界に異和感を感じる瞬間は、誰にでもあるのではないでしょうか。『同調圧力』に満ちた世の中のカラクリがほどけていく物語。果たして主人公は幸せなのか、正しいのか。そんな判定も超えたラストシーンは、清々しく頼もしいです。」

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たぶん彼女は豆を挽く 著:庄野雄治

徳島でアアルトコーヒーを営む、コーヒー焙煎人の著者。コーヒーのことやお店のこと、働くことなどを率直な語り口で綴るエッセイ集。

「私がお店を始めるときに出会った本。『コーヒーなんてこれくらい適当でいいんだよ』と言われたようで肩の力が抜けました。コーヒーの淹れ方や道具のこと、商売を始める時の気持ちの持ち方など、この本から多くを学びました。不安なのは自分だけじゃない。日々に寄り添ってくれる一冊です。」

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愉快のしるし 著:永井宏

葉山にあるショップ「SUNSHINE+CLOUD」を営む永井宏さんが、亡くなるまでの17年間、自社の通販カタログに書き続けた言葉を束ねた一冊。

「永井宏さんが季節ごとに丁寧に綴った文章は、目の上をさらりと流れていくきれいな文から本質をつく文章まで多様で、何度読み返しても飽きません。読み応えのあるページ数ですが、一つの文章は短いので読書に慣れていない方も読みやすいと思います。」

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元女子高生、パパになる 著:杉山文野

元フェンシング女子日本代表でトランスジェンダーの著者が、LGBTである親友から精子提供を受け、パートナーの女性との間に一児をもうけるまでを記した一冊。

「素直な文章で読みやすく、凹んでも最終的にはポジティブにとらえる文野さんに救われます。世の中には自分が理解できないことが溢れていますが、この本を読んだら、自分の理解の範囲外にあることも『理解しようとするスキル』を身につけられるのではないか、と思えます。」

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家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった 著:岸田奈美

車椅子ユーザーの毋、知的障害のある弟、急逝した父。作家 岸田奈美さんが、家族や家族と関わりを持つ人々との出来事を綴った、愛おしくて笑える日々のエッセイ。

「探し物が炊飯器の中から見つかったり、ミャンマーで母親の車椅子が盗まれたり、灼熱の甲子園で何故か熱々のコーヒーを売ることになったり、岸田奈美さんのちょっと特殊なエピソードにすごく笑えます。ハンディキャップがある家族の日常には考えさせられ、障害に対する認識が変わりました。優しさも、愛もお裾分けされる、読んだ後に心が温かくなる本です」

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 レインツリーの国 著:有川浩

“忘れられない本”をきっかけにインターネットで知り合った、難聴の彼女と健聴者の彼。ネットという細い糸を手繰るように交流を重ねながら、障害を取り巻く世界に翻弄されつつも、お互いに努力を重ね愛を育んでゆく恋愛小説。

「障害をもつ彼女を通して、本当の思いやりとはなんなのか、自分の想像する優しさが相手にとっての“本当の優しさ”なのかを見つめ直せるストーリーです。彼らの淡い恋心や、好きなものが共有できるという小さな喜びに心がほっこりします。」

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瞑想を始める人の小さな本 著:パトリツィア・コラード 訳:Lurrie Yu

ポケットにスッとおさまる、小さなマインドフルネスメソッド。マインドフルネス講師であり、大学で心理療法を教える著者が、毎日手軽にできるエクササイズを30種類以上紹介しています。

「心を整える手段として、マインドフルネスや瞑想を試してみたいと思う一方『雑念を捨てる』、『自分と向き合う』という言葉に圧倒され、なんか難しそうだなと感じている人も多いのではないでしょうか? 本書は10分未満でできる、簡単なエクササイズを紹介。古代から歩く瞑想と言われてきた『散歩』を楽しんでみる、1粒のレーズンを深く味わってみるなど、誰もがすぐに実践できるメソッドが用意されています。健康的な心と体を取り戻すことができる1冊です。」

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薪を焚く 著:ラーシュ・ミッティング 訳:朝田千惠

薪にまつわる文化や歴史、薪焚きの技術、道具への偏愛、薪と人の関係など、“薪”について余すところなく描かれた本。世界15か国で翻訳、50万部を超えるベストセラー。

「ゆらめく炎を眺めているだけで、気分は落ち着き、精神的安定をもたらします。ただ、都市部に住んでいると、焚火を楽しむのもなかなかハードルが高いのも事実。そんな焚火難民にオススメしたい1冊です。『薪の積み方で良い結婚相手か見抜ける』など、おもしろい雑学も。焚火に関する文化や知識を美しい写真とともに紹介する本書は、暖をとったときのような温かい気持ちにさせてくれます。」

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トトロの生まれたところ 監修:宮崎駿

映画『となりのトトロ』の舞台となった所沢。宮崎駿監督の妻である宮崎朱美さんが、トトロを生んだ所沢の自然の魅力を、繊細で美しいスケッチと文章で紹介。宮崎駿監督のインタビューも掲載されています。

「宮崎駿さんと朱美さんは結婚されてから所沢に住み、夫婦で散歩されるようになりましたが、所沢には『となりのトトロ』で描かれたような武蔵野の豊かな自然が今も広がっています。トトロを観て自然の不思議さや驚きを再発見し、また本書で描かれる木々や草花を見ると、自然にふれあう幸せや喜びを感じます。」

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 チョコレート・アンダーグラウンド 著:アレックスシアラー 訳:金原瑞人

国民が投票に行かなかったせいで、選挙で勝利をおさめた健全健康党。「健康に悪い」という理由だけで、チョコレートをはじめとするお菓子や飲み物を法律で禁止に。愛するチョコレートを全力で守るため立ち上がる子供や大人を描いた痛快小説。

「『わざわざ自分が反対しなくても、みんな反対するだろう』。健康健全党が勝利した経緯はどこか他人事とは思えず、気がつけば物語に没頭していました。約500ページを全く感じさせないスピード感で展開され、読後の多幸感は最高! コソコソ食べるチョコレートの美味しさがリアルで、お話の世界の風景が映像として思い出に残る、子供はもちろん、元子供のみなさんにも読んでほしい、チョコレートが食べたくなること間違いなしの1冊です。」

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  1. ピンバック: 20210226 | ひとつぶ

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