洗練されたカフェやレストランが点在する代々木上原。このエリアにできて、まもなく1周年を迎えるのが、コーヒーとカクテルが共存する「No.(ナンバー)」です。近年、注目が集まりつつあるモクテルも積極的に取り入れている同店。カフェバーというスタイルを選んだ理由とは?

 

朝の光がはいるNo.のエントランスとカウンター

代々木上原駅の駅前、徒歩2分。朝の柔らかな光がさしこむNo.は、午前9時半からオープンするカフェバーです。朝から活気のある店内では、フラットホワイトやカフェラテなどエスプレッソ系のドリンクをはじめ、夏はコールドブリューもラインナップ。プレスサンドや焼き菓子と一緒に、カウンターやテーブル席で、人々はそれぞれの時間を過ごしています。

バリスタこだわりのフラットホワイト(500円)とツナチェダーサンド(900円)

 

No.がカフェであり、バーでもある理由

No.のメニューブックを見ると、コーヒーとともに大きく取り上げられているのがカクテルとモクテル。モクテルとは「mock(真似る)」と「cocktail(カクテル)」をかけ合わせた造語で、イギリスが発祥とされるノンアルコールカクテルを指します。No.はなぜカクテルやモクテルに力をいれているのでしょうか。

「実は、No.を作る時にイメージしていたのは、クリエイティブなカクテルを出す海外のバーでした」と語るのはNo.のオーナー、大谷省悟さん。大谷さんはデザインや企画制作を行うクリエイティブチーム「301.inc」の代表でもあります。

No.を立ち上げた理由はいくつかありますが、ひとつは外部から依頼されたデザイン業務をただこなすのはなく、プロジェクトの企画段階から入って、デザインを設計していくチームでありたい。そのためには仕事の前に、一個人としてお互いのことを話し理解できる時間と場所を作りたいと考えたこと。もうひとつは、日本では敷居が高いバー文化をもっとカジュアルに広めたいと思った、と言います。

「仕事の前の会議からデザインしていきたい」と、No.のオーナー、大谷省悟さん

では、大谷さんが考えるバーの魅力とはどんなところでしょうか。

「バーはカフェと重なる部分、そして“ならでは”の魅力があります。カフェとバーの共通点は、ひとりでゆっくり考えごとができる。同時に、その場所に行けば、約束したわけではないのに知り合いに会えたり、思いがけない情報にも出会える。

バーならではの魅力は、気分が上がっている時も下がっている時も自分を受け入れて、ニュートラルに戻してくれる。ふつう飲食店は気分が落ちている時には行きたくならないものですが、バーはそんな時でも自分を受け入れているように思うんです。」

カフェバーという広い入り口からバーの魅力を発信

 

バーの敷居を上げているハードルをデザインで解決

海外、とりわけバー文化が繁栄しているロンドンでは、ディナーの前に隣接するバースペースで一杯カクテルを飲んだり、お酒のあとにコーヒーを飲んだりと、カフェやレストランの身近にバーが存在しています。しかし、日本ではそれぞれが独立し、共存する空間はほぼありません。

それから日本はバーの敷居が高い。コーヒーという広い入口を設け、バーのハードルになっているものをすべて排除して作ったのがNo .なのです。

そんな同店のメニューブックに載っているカクテルとモクテル。よく見ると、美しい写真とともに書かれているのは、カクテル名ではなく“ナンバー(番号)”です。バーの敷居を上げていることのひとつは注文。カクテルやお酒のことを知らないと頼みにくいというイメージを変えるために、番号でオーダーできるようにしています。

カクテル名でなくナンバー(番号)が書かれたメニュー

このナンバリングには、ひっそりとテーマが。例えば、No.3は「店の個性があらわれたシグネチャー」、No.4は「もう一杯というときに」など。旬の食材を使用しながら季節ごとにレシピは変わっていくカクテルやモクテルは、気に入ったものがあれば次回は番号でスマートに注文ができます。

“ツウむけ”がコンセプトのNo.5カクテル「ピスコサワー」(1,300円)。爽やかな酸味が効いたカクテルながら、飲みやすくアレンジしている

 

バリスタとバーテンダー、独立したプロフェッショナルたちが集結

ドリンクやフードを作るメンバーも、No.は独自のスタイルで採用しています。時間帯にもよりますが、カウンターに立つのはバリスタとバーテンダーの二人。それぞれの専門技術を用いてドリンクを作ります。

コーヒー部門を担当しているコーヒーコンサルティングチーム「swim」の小田政志さんは、No.で提供している豆の焙煎からコーヒーメニューまでを監修。「No.はカフェとバーが共存する場所。コーヒーはお酒の前後に飲まれるものなので、お酒の質感や口に残る味わいに負けないコーヒーをコンセプトにしています」と小田さん。

国内外のカフェでバリスタ・焙煎士として経験を積んできた小田さん

バー部門を担当しているのは、野村空人さん率いるドリンクコンサルティングチームABV+(エービーブイプラス)。

「明るいうちはモクテル、夜になるとカクテルのオーダーが増えてきます。」と話すのは、バーテンダーでドリンクメニューの開発もおこなう荻島渉さん。モクテルは健康志向の高まりから、国内外で人気が高まっているノンアルコールのクリエイティブドリンクです。

「カクテルのレシピ開発はベースのスピリッツ(お酒)に他の素材を足していくイメージ。モクテルはベースになる味や質感、ボリューム感から作るので難易度が高い」と荻島さん

6種あるモクテルの中で不動の人気を誇るのが、No.3の「モカシェイク」。エスプレッソの抽出を行うバリスタと、アイスクリームなどの素材をあわせて全体を組み立てるバーテンダーがコラボして作る一杯です。

また、女性におすすめのNo.4はチャイミルクティーをイメージしたモクテル。カクテル業界のミルクウォッシュという技法で作られたミルクはなんと透明! ビジュアルと味わいで人々の心を惹きつけています。

左はNo.3のモカシェイク(1,400円)、右はNo.4のチャイミルクティー(1,200円)

 

No.が次に目指すのは、SNSなどのビジュアルから店を知った人に、No.のコンセプトやバーの魅力を改めて言語化して「伝えていくこと」と語る大谷さん。また、これまで提供していた軽食に加え、今後は食のプロフェッショナルを起用して、ディナーなどの食事メニューを展開していく予定です。

カフェバーとして始まり、レストラン要素も含むユニークな場所へと発展していくNo.。カフェは「こうでなければいけない」というルールがないからこそ、作り手とお客様、そこにうまれたコミュニティとともに変化・成長していける。これからも進化し続けるNo.に期待が高まります。

HPではおうちで作れるカクテルレシピを公開したり、ポッドキャストを配信。今後は店内のメニューブックを読み物として発展させていくとのこと

 

◆No.(ナンバー)
住所:東京都渋谷区上原1-33-11 TOPCOURT4 3階
営業時間:平日のみ短縮営業9:30〜22:00、土日 9:30〜24:00(2020年8月末時点)
TEL:03-6712-5068
HP:https://no.301.jp
No. ONLINE:https://onno.301.jp
CafeSnap みんなの投稿 >> https://cafesnap.me/c/13014

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江戸切子で嗜む、粋なコーヒー。“ものづくり”の精神が息づく「すみだ珈琲」

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