北海道・札幌の裏路地にひっそりと佇む喫茶店、森彦。その味わいを自宅でも楽しめるレギュラーコーヒー「森彦の時間」が全国で発売開始されたことを記念してスペシャルイベントが開催されました。創業者の市川草介氏がトークイベントで語った“森彦らしいコーヒー”とは……?

北海道内に13店舗を展開するMORIHICO.。札幌にある本店は、心と身体を芯から温める、豊かな香りのコーヒーと、木造民家を改装して造った唯一無二の空間が魅力で、「森彦を体験したい」と絶えずカフェ好きの人々が訪れています。

そのMORIHICO.が味の素AGF株式会社と協働で開発したレギュラーコーヒーが「森彦の時間」。全国での発売を記念して、東京都・谷中の古民家カフェHAGISOで、期間限定のポップアップカフェ「カフェ 森彦の時間」が開かれました。初日にはスペシャルイベントを開催。森彦の創業者・市川草介氏とCafeSnap代表・大井とのトークセッション、森彦流ハンドドリップのデモンストレーション、コーヒーとフードのペアリングが行われました。

 

市川氏が語る「森彦の時間」

イベントは、市川氏と大井のトークセッションからスタート。市川氏が「森彦の時間」に込めた想いを紐解いていきます。


―「森彦の時間」は「森彦ブレンド」「マイルドブレンド」「アフリカン・ムーンブレンド」の3種がありますね。商品はどのように作られたのでしょうか?

市川氏:日本全国、そして世界の方々にMORIHICO.のコーヒーを届けるにあたって、最低でも3つの異なる味わいを作ろうとコンセプトを考えるところから始めました。

「森彦ブレンド」は、MORIHICO.の看板ブレンド「No.1」に非常に近い味わい。酸味はなく、北海道らしいどっしりとした深煎りのコクを感じていただけると思います。中煎りの「マイルドブレンド」は、何杯でも気軽に飲みたくなるような、苦味と甘みのバランスを重視。「アフリカン・ムーンブレンド」は、単一農園の豆のみを使用した、いわゆるシングルオリジンコーヒーで、浅煎りの心地いい酸味とフルーティーな味わいを楽しんでいただけます。

浅煎り・深煎りなど、人によって味の好みもありますし、体調や気分、土地土地の気候に合わせて、その時に飲みたいものを3種類からチョイスしてほしいですね。

―「森彦ブレンド」は飲んだ瞬間、自分が森彦 本店を訪れた時の記憶が蘇ってくるような香りと味わいで驚きました。

市川氏: 配合も焙煎度合いも、数え切れないほどの数を試飲しましたが、製作を進めていくなかで「みんながいいよね」と感じたものが自然と、MORIHICO.で出しているフレンチローストの「No.1」、マイルドブレンドの「No.2」、浅煎りモカを使った「No.3」に近づいていったんです。今回の3商品は、MORIHICO.で味わえる美味しさを忠実に再現した商品になっていると思います。

― 市川さんにとって“森彦らしいコーヒー”とはどのようなものだとお考えですか?

市川氏:MORIHICO.では、“甘み”を引き出すことを大切にしています。コーヒー豆は、浅煎り深煎りに関わらず、焙煎することで甘みが出てきます。よく「酸味が苦手です」という声を聞きますが、甘みのある酸味は、美味しいと感じていただけるはずです。私はこれを“甘酸味(あまざんみ)”と呼んでいて、例えば「アフリカン・ムーンブレンド」は浅煎りですが、“美味しい甘酸味”を感じていただけると思います。

― 家庭用のレギュラーコーヒー発売の先に、市川さんはどのような未来図を描いていますか?

市川氏:森彦本店の創業は1996年。奇しくも、シアトル系コーヒーチェーン大手の上陸と同じ年でした。機械抽出のコーヒーが流行り、古き良き喫茶店がどんどん閉店していく一方で、この数年では“日本の職人技”であったハンドドリップに魅了されて沸き起こったサードウェーブが、海外からやってきてブームになっています。

もどかしかったんですよ。日本人から見離された、日本古来のハンドドリップというコーヒー文化が、海外の人によってブランド化された途端に注目されることが。それから私は「日本人は自国の文化に誇りを持ち、自ら発信すべきだ」と感じ始めたんです。家庭用のレギュラーコーヒー「森彦の時間」を通して、ハンドドリップで淹れる日本のコーヒーの美味しさと技を、もう一度日本に、そして世界に発信したいと思っています。

 

MORIHICO.流 ハンドドリップ、2つのポイント

イベント中盤では、日本のコーヒー文化を象徴するハンドドリップでの淹れ方を、MORIHICO.のスタッフがデモンストレーションで披露。市川氏がポイントを解説しました。「カフェ 森彦の時間」に合わせた、今回のイベント用提供レシピは、23gの豆を使用し、82〜83℃の湯で200ccのコーヒーを抽出するというものです。

市川氏が語るハンドドリップのポイントは2点。まず1点目は“湯の温度”です。沸いたばかりの湯は温度が高すぎるため、湯わかしポットからドリップサーバーに湯を入れ替える“ジャンピング”を1、2度繰り替えすことで、適正温度に下げます。温度ひとつで、抽出されるコーヒーの味わいは大きく変わるそう。MORIHICO.では、豆によっても湯の温度を変えているといいます。

2点目のポイントは“蒸らし”。小刻みに手元をバウンドさせながら、一滴ずつ湯を落とし蒸らしの状態を維持します。「蒸らしこそ、ハンドドリップの魅力のひとつ」と、市川氏。豆の膨らみを目で見ながら、湯の量や注ぐタイミングをコントロールし、その美味しさを最大限に引き出していきます。

 

「森彦の時間」コーヒーペアリング体験

最後は3種のコーヒーとフードのペアリング。MORIHICO.では10年以上前から、コーヒーとフードのペアリングを行なっており、本イベントでは、HAGISOによる限定フードも登場しました。

森彦ブレンド × ガトーフロマージュ
深煎りのどっしりとしたコクと香りが楽しめる「森彦ブレンド」は、MORIHICO.の「ガトーフロマージュ」と共に。チーズの濃厚な旨味が重厚なコーヒーに絶妙にマッチ。ベリーは、森彦 本店の赤い屋根を表現しています。

マイルドブレンド × 半熟玉子のキーマカレー
「マイルドブレンド」には、HAGISOの定番メニュー「半熟玉子のキーマカレー」を合わせました。8種類をブレンドしたオリジナルスパイスで作るまろやかなカレーが、ほどよい華やかさとやわらかな甘みのあるコーヒーと調和し、うま味の余韻を残します。

アフリカン・ムーンブレンド × 木の子と腰塚コンビーフのタルティーヌ
「アフリカン・ムーンブレンド」に合わせるのは、同じ“甘酸味”が感じられるカンパーニュを使ったタルティーヌです。森彦 本店で人気のメニューをHAGISO流にアレンジした限定フード。酸味同士を掛け合わせることで一体感が生まれ、深く丸みのある酸味に変化します。

 

“空間体験”があってこそ森彦。コーヒーは、空間を楽しむための入場券

今回会場となったHAGISOは1953年築で、森彦 本店と同年代に建てられた歴史ある古民家。木の質感や吹き抜けの構造など、森彦に通ずる空気感があり、とても惹かれたという市川氏。MORIHICO.全店の空間デザインを自ら手がける市川氏にとって、森彦も、ただコーヒーを飲んで味わうための場所ではないといいます。

「お客様は『美味しいコーヒーを飲みに来た』とおっしゃってくださいますが、本当はその一言では説明しきれない、もっと広い意味で森彦を楽しみに来てくださっていると思っています。本店にあるのは、日本の文化と歴史を感じられる空間。美味しいコーヒーは、きっとそこに入るための入場券なのです。私は最高の空間を造り、さらにお客様がそこに訪れるための“最大の言い訳”、すなわち美味しいコーヒーを作っているのです」。

日本のコーヒー文化と市川氏の哲学が詰まったMORIHICO.のコーヒーを、自宅にいながら味わえる「森彦の時間」。商品をきっかけに、かつて森彦を訪れた時のことを思い出すもよし、未訪の方は北海道の森彦へ足を運んでみてはいかが。旅の目的地にしたくなるほどの魅力が、MORIHICO.のコーヒーと空間にはつまっています。

 

 

◆商品情報
商品名:「森彦の時間 森彦ブレンド」(使用豆:コロンビア・グアテマラほか)
「森彦の時間 マイルドブレンド」(使用豆:タンザニア・ブラジルほか)
「森彦の時間 アフリカン・ムーンブレンド」(使用豆:ウガンダ)
販売場所:全国のスーパーマーケット
詳細:https://www.morihico.com/morihiko_no_jikan

◆森彦 本店
住所:北海道札幌市中央区南二条西26-2-18
営業時間:10:00〜21:00(L.O.20:30)
定休日:年末年始
HP:https://www.morihico.com
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取材・文:RIN
撮影:山田英博
インタビュー:大井彩子(CafeSnap)

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