この夏、15周年を迎えた新宿御苑のBOWLS cafe。2000年代後半に始まったカフェブームを牽引し、今なお変わらずこの場所に在り続けています。毎日オープンからクローズまでノーゲストになることはまずないという同店。愛され続ける理由を紐解いていくと、“みんなが寛げる居場所”という、カフェ本来の姿がありました。

 

自分たちが求めていた、ごはんが食べられるカフェ

以前はアパレル会社に勤め生産管理を担当していたという、オーナーの生田目 恵美子(なばため えみこ)さんが、友人とふたりで「BOWLS cafe」をオープンしたのは2004年のこと。カフェ好きが高じて開業を叶える店主が多いなか、生田目さんたちがカフェを始めたのは少し変わった理由でした。

「時間に追われていた前職に区切りをつけて自分たちらしい生き方をしたいと思ったとき、まず、ふたりの好きなものを箇条書きにしました。料理、お菓子、ペット、インテリア、ガーデニング、食器、雑貨……。それをすべて叶えられるものを考えたら、自然とカフェに行き着いたんです」。

終始、やわらかな口調と飾り気ない笑顔で語る生田目さん。アットホームな空間と手作りの食事やおやつという、BOWLS cafeの姿は、自分自身がほしかったカフェのかたちだそう。

「当時のカフェの食事は、おしゃれだけど値段が高くてボリュームは控えめ。わたしたちが求めていたのは、飾りすぎなくていいから“美味しいごはん”が食べられるお店だったんです」。だからお店の名前は、おなかいっぱいごはんが食べられる「BOWLS(=どんぶり)」。こうしてBOWLS cafeは始まりました。

2004年のオープン当初から変わらない「ボウルズカレー」850円(税抜)も大きなどんぶりで提供

いつでも、誰でも楽しめる場所。BOWLS cafeが15年間愛され続ける理由

そのBOWLS cafeが2019年の今年、15歳に。「いたって“普通のカフェ”なんですけどね(笑)」と、謙虚に笑う生田目さん。昨今は一定層だけをターゲットにする専門店化したカフェが増えていますが、同店は、おなかいっぱい食べられる食事、軽食にスイーツ、夜にはアルコールとおつまみがあり、男性、外国人観光客、お子様やペット連れ、おひとり様もグループのお客様も大歓迎というスタンスを貫きます。

ひともシーンも選ばず、誰でも気軽に訪れられる場所。それは訪れる側にとって、どんなものにも変えがたい安心感となっているのでしょう。営業時間中、お客様がいないことがないというほど、“誰かが来ない日には、他の誰かが来てくれる”という流れができているといいます。

「新宿という土地柄、本当にさまざまな客層の方が来られます」と、生田目さん。「小さなお子様やワンチャン連れの方など、誰かをNGと言ってしまうのは簡単ですが、それではうちが新宿にある意味がなくなっちゃうと思うんですよね。この雑踏の中でのんびり過ごせる場所を求めているからこそ、ここに来てくれていると思うんです」。

過去に赤ちゃんが泣き止まないなど、小さなハプニングが起こったときでも、常に店内にいるみんなが気持ちよく過ごせる解決策を見つけてきたのだそう。“いつでも・誰でも”あたたかく迎え入れ、必ず楽しめるものがあるという懐の広さ。本来のカフェにあるべき寛ぎと大きな包容力が、ここにはあるのです。

 

時代の流れに寄り添い、今作りたいものを表現する

数年ぶりに訪れるお客様が、お店が続いていることに喜ぶ姿や「懐かしかった」という声が嬉しいと話す生田目さんが、15年間、店に立つうえで常に大切にしていることがあります。それは、料理の味や見た目、店内の装飾のクオリティの基準を、スタッフみんなと高いレベルで共有し、毎日1ミリでもいいからステップアップすること。「料理を目にしたとき、食べたとき、次回来てくれたとき、お客様にがっかりしてほしくないんです。『やっぱりボウルズはいいな』『さらによくなったな』と思うからこそ、また来てくれると思うから」。

「季節の果物のスクエアケーキ」650円(税抜)と「ほうじ茶ラテ」650円(税抜)。ほうじ茶もブームの前からずっとある定番メニュー

同じように見えて、メニューや内装は少しずつ変わっているそう。「時代の流れと共に、お客さんのカフェの楽しみ方や自分の考え方も大きく変わりました。ただ、無理に流行りにのったり逆らったりはしません。時代に寄り添って、そのとき自分が作りたいもの・食べたいものをボウルズらしく表現し続けています」。

 

BOWLS cafeは、みんなのもの

今がいちばん、開業当初に描いていたような、自分のペースで店に立てているという生田目さん。初めの5年は毎日を必死で突っ走り、カフェブーム真っ只中の2010年ごろには、雑誌にも多数掲載され、「お客様やメディアの期待に応えなければ」という重圧も大きかったといいますが、大きな気持ちの変化は10周年だったと振り返ります。

「ようやく認められた気がしました。『BOLWS cafeの在り方は間違ってない。これでいいんだ』と。肩の荷がおりましたね。料理、インテリア、雑貨……。結局ここは、わたしの好きなものであふれているんです。でも、自分の所有物という感覚はありません。家族のようなスタッフ、来てくださるお客様がいてこそ、BOWLS cafeであり続けられるから。みんなのものだと思っています」。

20周年は、よりラフに迎えられている気がするという生田目さん。スタンドや軽食だけの手軽なお店ではなく、やはりゆっくり食事ができる場でありたいという思いは変わらないと話してくれました。「カフェという気軽さを残しながら、料理やサービスを日々高めていきたいです」。

誰にとっても自分の居場所になり得るBOWLS cafe。「やっぱりボウルズはいいな」。20周年を迎える2024年には、そんな声がさらに多く聞こえそうです。

 

◾️BOLWS cafe(ボウルズ カフェ)
住所:新宿区新宿2-5-16 霞ビル1F
営業時間:11:30~20:00(L.O. 19:00)
定休日:年末年始・その他不定休
HP:http://bowlscafe.com
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Interview & Writing & Photos: RIN

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