CafeSnapのペアリング企画、今回フィーチャーするのは神奈川県の城下町、小田原の老舗・スズアコーヒーとかまぼこ店・籠清(かごせい)が開催した“コーヒーと伊達巻のペアリングイベント”です。イベントで振る舞われたメニューを味わいながら、ペアリングにおける4つのセオリーを紐解いていきます。

今回のイベントを企画したスズアコーヒーは、1956年に小田原で創業した自家焙煎珈琲店。地元はもちろん、観光地として有名な箱根や熱海の旅館やレストランで提供されるオリジナルブレンドを数多く作っています。主催者の鈴木雄介さんは、難関と言われているJ.C.Q.A.認定 生豆鑑定マスターの資格を所有。スズアコーヒーの三代目を引き継ぐ焙煎士です。

会場は、1814年創業の小田原を代表する老舗かまぼこ店 籠清(かごせい)。今回は小田原で作られるコーヒーと伊達巻、そして地元のフランス料理店MECIMO(メシモ)のシェフが提案する、伊達巻を使ったアレンジスイーツとコーヒーのペアリングを体験しました。

 

ペアリングの定義と4つのセオリー

まずは“ペアリング”についてのおさらい。そもそもコーヒーにおけるペアリングとは、“コーヒーの味の特徴と相性が良いフードを掛け合わせて楽しむこと”で、“食べ合わせ”とも呼ばれています。ペアリングには大きく4つのセオリーがあります。

①同調のペアリング:ドリンクとフードに共通する味わいを掛け合わせて、魅力を増幅させる

②補完のペアリング:フードに足りない味をドリンクで補うことで、魅力を増幅させる

③中和のペアリング:脂分などフードの成分をドリンクで中和させて食べやすくする

④対比のペアリング:それぞれ異なる味わいのフードとドリンクを掛け合わせることで味覚のコントラストを楽しむ

このセオリーをふまえて、早速ペアリング開始です!

 

【ステップ1】 まずはコーヒーだけを味わう

まず最初に、スズアコーヒーのブレンド2種をテイスティングします。中煎りの“マイルド系ブレンド”は香ばしさと甘みが強く、まろやかな味わい。深煎りの“ビター系ブレンド” は深煎りならではの苦味、コクが印象的。それぞれの苦味・酸味・甘味・コク・渋みの印象を数字でメモしておきます。

 

【ステップ2】 伊達巻×コーヒーのペアリング

いよいよコーヒーと伊達巻のペアリングです! 一般的に伊達巻はおせち料理の一品というイメージがありますが、かまぼこ業界ではスイーツとしても知られているとのこと。籠清では、魚のすり身や溶き卵、砂糖など、シンプルな素材のみで作っています。

まずは中煎りのマイルド系ブレンドと伊達巻。コーヒーを飲んだ後に、小さく切った伊達巻をいただきます。

濃厚な甘さの伊達巻と、中煎りコーヒーの甘さが重なって、味にまとまりが感じられます。伊達巻がお茶受けとして食べられていることにも納得。これはセオリー①同調のペアリングにあたります。

次は、深煎りのビター系ブレンドと伊達巻のペアリング。伊達巻の表面についている焼き色の部分と、深煎りコーヒーの苦味が合わさり、香ばしい余韻が残ります。同時に、深煎りのコーヒーは、伊達巻の濃厚な甘さを口の中ですっきりとさせてくれる効果も。これはセオリー③中和のペアリングにあたります。甘いものが得意でない人にはこの組み合わせがおすすめ。

また、参加者の方に聞くと、伊達巻を単体で食べたときにはわからなかった、伊達巻に含まれる“みりん” や、ごく少量の“塩味”も感じられたとのこと。これは異なる味わいのフードとドリンクを掛け合わせることで、それまでに感じられなかった味を浮き上がらせる④対比のペアリングになります。

【ステップ3】 伊達巻×梅干し、アイスクリームの斬新ペアリング

ここで少し箸休め。今回のイベントでは、さらにチャレンジングな伊達巻×梅干し、伊達巻×アイスクリームのペアリングも登場しました。

甘い伊達巻とすっぱい梅干しが本当に合うのか……、参加者一同ソワソワした面持ちでしたが、そこは味を設計するプロ。小田原の梅干し店「ちん里う」から、鈴木さんが選んできた“減塩のはちみつ梅干し”を伊達巻にのせて食べてみると……意外にも違和感がありません!

これは②伊達巻の甘味と梅干しの酸味が補完をしあい、③伊達巻の油分を梅干しの果実感が中和、さらに④梅干しの塩味が伊達巻の原料となる魚の風味をほのかに立ち上がらせる対比のペアリングが成立していたから。フードとドリンクのペアリングを考える時、つい1セオリーだけを想定しがちですが、3つのセオリーがかけ合わさってできるペアリングがあることは発見でした。

また、伊達巻×アイスクリームのペアリングでは、ふたつの食材に共通する卵とミルク(牛乳)が単体の時よりもより強く感じられて、まるでマドレーヌのような味わい。卵とミルクの組み合わせは、スイーツ業界では王道なので納得。こちらはセオリー①同調のペアリングでした。

【ステップ4】伊達巻を使った進化系ショートケーキ×コーヒーのペアリング

最後に、コーヒーと共に登場したのが、小田原にあるフレンチレストランMECIMO(メシモ)のシェフが作った伊達巻の進化系ショートケーキ。ケーキは下から、伊達巻、練乳のエスプーマ、小田原産のいちごで作ったシロップ、カシューナッツのパウダーがかけられています。シェフ曰く、「これまでが“味わいのペアリング”を意識していたので、最後に“食感”を意識したペアリングを」と、この一皿が生まれたそう。

しっとり厚みのある伊達巻の上に、ふわふわと溶けていく軽いエスプーマ、そして食感を楽しめるナッツのバランスが絶妙。さらに、伊達巻の甘みを、いちごの爽やかな酸味が中和しています。ペアリングのセオリーを総括したような見事な一品でした!

ペアリングの4つのセオリーとともに、今回のワークショップを通して学んだことがこちら。
・ペアリングは合わせる素材がともにシンプルであること
・ペアリングは味だけでなく、食感もあわせて楽しめること
・味覚は全員違うので正しいも間違いもないこと

スズアコーヒーは今後もご当地ブランドとのコラボ企画を検討中とのこと。コーヒーの楽しみ方とその可能性を広げてくれる“ご当地ペアリング”に今後も期待です!

 

◆スズアコーヒー
住所:神奈川県小田原市本町2-9-22
営業時間 AM 8:30〜PM 18:00
定休日:土・日・祭日
HP : http://suzuacoffee.com

◆小田原 籠清(かごせい)
住所:小田原市本町 3-5-13
営業時間:9:00〜18:00
定休日:元旦
HP: http://www.kagosei.co.jp

◆MECIMO(メシモ)
住所:神奈川県小田原市栄町2丁目5-22
営業時間:11:30~13:30(L.O) 、18:00~20:00(L.O)
定休日:毎週月曜+不定休
HP: https://www.mecimo.com

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