ブルーボトルコーヒーでバリスタとして活躍していた宮崎哲夫さんとmotocoさんはLet It Be Coffeeの開業を決める前に“まず独立”した珍しいキャリアの持ち主。独立する時に誰もが感じる“不安”、それを乗り越えるために求められる“覚悟”と“情熱”。ふたりはなぜ先に独立することを決めたのか。CafeSnapの大井がお聞きしました。

覚悟を決めたふたりの背中を押した、恩師の一言

大井:おふたりはどんなきっかけで独立することを決めたのでしょうか?

宮崎さん:「人生は一度きりだから、自分たちのやりたいことを好きな人としたい」そして「自分たちのお店を持ちたい」という気持ちは前々からありました。ただ、最後のひと押しをしてくれたのは、恩師である私立珈琲小学校の吉田先生の一言が大きかったと思います。

motocoさん:ブルーボトルで働いていた時から吉田先生にはお世話になっていたんですが、独立の相談をしたときに吉田先生は私たちに「俺が全部責任を持つから、好きなところで好きなことしなよ!」と言ってくれたんです。

親でもないし、ずっと一緒に働いてきたわけではないのに、私たちの想いを深く汲み取ってくださって、いつも味方でいてくれた。何度、吉田先生の言葉で泣いたか分からないですね。先生のその言葉を聞いて「覚悟をもって好きなことを全力でやりたい」という気持ちが強くなりました。


大井:「責任を持つ」というのは簡単に言える言葉じゃないからこそ、大きな心の支えになりますよね。安定的な状況から離れてでも「好きなことを全力でやりたい!」というふたりの覚悟を、きっと吉田先生は感じ取られたんじゃないでしょうか。

宮崎さん:独立は簡単なことではないですから、最終的に一歩前に進む勇気をくれた恩師の後押しは心強かったですね。吉田先生は21年間も小学校の先生をされて、いまはコーヒー屋をやられている。先生の生き方は僕たちの指針になっています。

実際、独立してから“旅するコーヒー屋”を始めたのですが、吉田先生にご紹介いただいた仕事もたくさんあります。そして、旅するコーヒー屋を続ける中で出会った方とのご縁で、このお店も開くことができたんです。


大井:独立するときはこのLet It Be Coffeeのお店が決まっていたわけではないですよね?

宮崎さん:はい、なので不安がなかったかというとそうではないです。独立する時はみんな「お金の準備ができたら……」と考えるじゃないですか。でも「それっていつなんだろう……?」と思ったら「今やちゃえ!」と(笑)。 僕はひとりだったらできなかったと思うんですけど、motoちゃんがいてくれたから「独立できる」と思いました。

motocoさん:私はあまり不安がなかったですね。もし独立してお金がなくなったらアルバイトをすればいい。もし壁にぶち当たってもふたりなら乗り越えられるなといつも思っています。たとえ苦労があったとしても、きっと「楽しかった」と最後は必ず言えると思うんです。これまでどんな時も楽しみながらやってこれたのと……究極にポジティブな2人なので(笑)

宮崎さん:(笑)!

大井:ハッピーオーラ全開のおふたりですが、おふたりにとっての“幸せ”とはなんでしょうか?

宮崎さん:「自分のやりたいと思うことを好きな人とやる」ということだと思います。それこそ、会社で働いていた時と比べると収入は減りましたけど、“let it be”の言葉通り、何の無理もせず、いいと思うものを作ってくださっている人と同じ熱量で伝える。やりたいことをやる、それができている今がとても幸せです。

 

“感謝”と“決意”を伝えるため挑戦したクラウドファンディング

大井:お店をオープンする前にはクラウドファンディングに挑戦されていましたが、どんなきっかけがあったのでしょうか?

宮崎さん: 元々クラウドファンディングという言葉は知っていましたが、自分たちがお世話になっているCoffee Wrightsさんがクラウドファンディングに挑戦していて、その時に僕らも支援をさせてもらったのをきっかけに興味を持つようになりました。

motocoさん:ただ私たちがやらせていただいた時は、資金集めを目標にせず、自分たちがやってきたことをお伝えしてどれくらい“共感”をいただけるのか、その挑戦だったんです。

大井:確かにクラウドファンディングは海外では資金集めだけでなく、共感や愛情、サポートを表現するための方法として注目されていますよね。ここ数年、カフェの開業前にクラウドファンディングに挑戦している人が増えていると思います。実際やってみて苦労はありましたか?

motocoさん:文章を書くのは、とても悩みました。色々研究をしたり、他の方の文章を読んだのですが、いまいち自分にはしっくりこなくて……。散々悩んだ結果、「今までやってきたこと、私たちの想い、感謝、これからの決意を等身大でありのままに書く!」 それに徹することにしました。

大井:おふたりのページを拝見しましたが、一般的なものと比べて、これまで関わった方に「ありがとう」を伝えるために書いた“感謝のお手紙”のような印象を受けました。

motocoさん:今までの活動と関わった方への感謝、これからの決意を総まとめにして伝える機会はこれまでなかったので、メッセージとして伝えられたのはよかったです。

そして目標達成をしたことはもちろん嬉しかったのですが、クラウドファンディングをやって一番良かったと思ったのは“お金”以上に“応援のメッセージ”をいただいたことでした。

サイトではサポートして下さる方がメッセージを書くのも書かないのも自由ですが、ほとんどの方が温かいメッセージを送って下さいました。中には「自分たちもクラウドファンディングで店の立ち上げを手伝ってもらったのでふたりのことも応援しています!」と書いてくださる方がいたり。

私たちのことを知っている人も知らない人も、毎日たくさんの方がメッセージを下さったので、クラウドファンディングに挑戦している1ヶ月間「どれくらいのパワーをもらったんだろう」というくらい大きな力をもらいました。

大井:実際、お店をオープンして3ヶ月ですが、いまどんな気持ちですか?

motocoさん:毎日すごく楽しいですね! 仕事が終わった後に本当に毎日「今日もいい1日だったね!」って、話すんですよ。意識するわけでもなく、自然にその言葉がでてくるんです。昨日も言ったけど、今日も言いたくなる。3ヶ月たって、毎日そう感じているので、こんな幸せな人生を送れている今が本当に嬉しいです。

宮崎さん:僕はいま41歳ですが、この年になると友達にそうそう会えなくなりますよね。でもお店やってると、いろんな友達が会いにきてくれる。ブルーボトルの同僚もスターバックスの同僚も、中学の友達も高校の友達も。彼らに会えるとすごくハッピーになります。

二子玉川の店主夫妻から受け取った力強いエール

大井:今後の夢はありますか?

宮崎さん:40年、お店をやりたいと思っています。

motocoさん:私も一生ここでお店をやり続けたくて、いろんな人に来ていただきたいですね。

宮崎さん:実はこの先に“大倉”という老舗のとんかつやさんがあって、先日43年続いたお店を閉じられたんですね。二子玉川を代表するお店のそのご夫婦は街の方に愛されていて、閉店前の1週間は毎日大行列ができていました。

僕たちもよく行っていたのですが、最後にお話したときに店主の方が僕たちに言ってくださったんです。「あとは任せたぞ」と。僕たちの店がオープンする前にそう言っていただけたことが嬉しかったですね。

motocoさん:街の顔のようなお店でしたらか、ご苦労もたくさんあったと思いますが、地域の方や周りの方から本当に愛されていたご夫婦だったので、自分たちもいつかあのご夫婦のようになりたいな、と思っています。

大井:感動的ですね。おふたりが築いていく次の40年。私も楽しみにしています。今日はありがとうございました!

宮崎さんmotocoさん:ありがとうございました!

 

Let It Be Coffee (レット イット ビー コーヒー)
住所:東京都世田谷区玉川3-23-25 ビーンズ二子玉川102
営業時間:11:00〜 20:00
定休日:水曜
メニュー:ハンドドリップ 480円〜、カフェラテ500円、あんバターサンド500円、もなか380円
Instagram: https://www.instagram.com/letitbecoffee/
CafeSnap みんなの投稿>> https://cafesnap.me/c/9305

 

Interview&Writing:Ayako Oi
Photo:Kumiko Nakakuki

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