“カフェの映画”と聞いて、みなさんはどんな作品を思い浮かべますか?
今回は、北海道・札幌にある「時計のない喫茶店」の店主で、これまでに1000本以上の映画を観てきたという無類の映画好き、村上優希さんをナビゲーターに迎え、カフェやコーヒー、スイーツが見所の映画を厳選してもらいました!
甘いラブストーリーからシックなフランス映画まで、村上さんの推薦コメントとともにご紹介します。
◆ナビゲーター
「時計のない喫茶店」店主 村上優希さん
深煎りが中心の北海道で、浅煎りのフルーティなコーヒーの魅力を発信している自家焙煎コーヒー店。2019年にはCOFFEE COLLECTIONに出店。洗練された店内では映画のサウンドトラックが流れ、定期的に映画の上映会も開催。最近は「スイング・キッズ」に触発されてアイリッシュダンスを練習中。
Serendipity
カフェで過ごしたほんの少しの時間に
運命を感じる二人
ニューヨークの夜。デパートで偶然おなじ商品に手を伸ばしたサラとジョナサンは意気投合し、“幸せな偶然”という意味を持つ名前のカフェ「セレンディピティ3」で語りあいます。「これがもし運命の出会いなら、この場で別れても、再び出逢えるはず」。 そう考えた二人は名前すら告げず、再会を誓うのですが……。
この作品の素敵なところは、運命を信じながらも、運命まかせにしないこと。しっかり努力、行動をして、運命を掴むところが最高にロマンチックです。
◆Serendipity(セレンディピティ)
公開:2002年
DVDを購入:https://amzn.to/3jizX5x
Buffalo ’66
どうしようもなかった男の人生に登場する
甘いココアとクッキー
誰からも愛されず惨めさを抱えて生きてきた男が、刑務所を出所したところから始まるストーリー。親に「結婚した」と嘘をついてしまったばかりに、妻を連れて帰らなければいけなくなった男は、道で出会った女の子をなかば誘拐して車に乗せ、数日かけて自宅へ向かいます。その道中、彼女の愛を感じ、自らを受け入れられるようになっていく男のロマンチックなロードムービー。
超ダウナー系の映画ながら、ココアとクッキーが甘く登場します。主演のヴィンセント・ギャロは同作で監督・脚本・音楽もこなしており、ミニシアターの魁となったヒット映画。2021年1月末から全国のミニシアターでも再上演がスタートしています。
◆Buffalo ’66 (バッファロー ‘66)
公開:1999年
HP:https://buffalo66-2021.com
予告編:https://youtu.be/Efkjmn5e-14
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LA LA LAND
カフェで働きながら夢を追いかける
ミュージカル・エンターテイメント
アカデミー賞、史上最多となる14部門にノミネートしたLA LA LAND(ラ ラ ランド)。オープニングの高速道路では、夢に対する情熱は歌と踊りで、夢を叶える難しさは渋滞の順番待ちという形で表現していて、なおかつ華やかにみせています。
夢への情熱が薄れてしまっている2人が、出逢い、奮起していく。そして、夢を叶えたはずの二人は……。すごく凝られた脚本で、何回観ても新たな発見がある作品です。
◆LA LA LAND(ラ ラ ランド)
公開:2017年
HP:https://gaga.ne.jp/lalaland
予告編:https://bit.ly/2MJkxLI
配信レンタル:https://amzn.to/39Op4VO
マイ・ブルーベリー・ナイツ
売れ残るブルーベリーパイに自分を重ね
人生を追っていくストーリー
行きつけのカフェに彼が別の女性と来ていた事を知り、自分の失恋を悟るエリザベス。「他のケーキは売れるのになぜブルーベリーパイだけ残るのか? パイのせいじゃない、ただ選ばれないだけ」。そんなブルーベリーパイに自分を重ね、それから毎日売れ残りのブルーベリーパイを食べに、カフェに通うようになるところから物語が進んでいきます。
グラミー賞受賞歌手、ノラ・ジョーンズが主演。ウォン・カーウァイ監督が「ブルーベリーパイとバニラアイスが溶け合う様子は、唇を重ね合う男女にも見える」と発見したこと、そしてそれをアメリカ国民に自慢したかった感が出まくりな作品です! 同監督の「恋する惑星」もおすすめ。
◆マイ・ブルーベリー・ナイツ
公開:2008年
予告編:https://www.youtube.com/watch?v=YMkOjckOwSE
配信レンタル:https://amzn.to/3txkYcm
はなればなれに
恋と犯罪をめぐる悲喜劇
カフェで踊るマディソン・ダンス
小悪党の男ふたりが、パリの英語学校で知り合った女の祖母の家の大金を盗み、トンズラしようとする犯罪風メロドラマ。随所にはさまれる詩的なナレーションが、第四の主人公となり、観ている側とスクリーンの中の3人を仲介します。「時計のない喫茶店」でも上映会をした“世界一、最高な三角関係の映画”。
無許可で撮影したといわれているルーヴル美術館を意味もなく走り抜けるシーンからは、若きゴダール監督の、映画をつくる喜びやワクワク感が伝わってきて、“胸躍る青春の躍動感”を最高に満喫できます。モノクロの映画ですが、観終わって思い出すときには色がついている映画です。
◆はなればなれに
公開:1964年
HP:http://mermaidfilms.co.jp/hanarebanareni
予告編:https://bit.ly/2O8MBbC
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アメリ
アメリの大好物はクリーム・ブリュレ
クリームブリュレと女優オドレイ・トトゥを一躍有名にした「アメリ」。ロケ地となったパリ・モンマルトル地区の街の片隅には、映画の主人公が働くカフェ「カフェ・デ・ドゥー・ムーラン」があります。
フランス映画らしく、印象的で可愛い小物がたくさん出てきてきますが、同時にピリッとしたブラックコメディ要素もあります。アメリの空想から始まり、彼女の成長を感じ取れる素晴らしいストーリー。 “誰かの幸せを手助けする”という方法で、人生の輝きを見出していく姿が素敵です。そして、カップルが成立した時、カフェの店内が揺れるシーンは個人的にツボです!
◆アメリ
公開:2001年
予告編:https://bit.ly/3cPNDDE
配信レンタル:https://amzn.to/3oTN1iR
わたしはロランス
女になりたい彼との10年間
カフェへの誘い方がロマンチック
2年間付き合っているカップルの彼が、「女になりたい」と告白するところから10年の物語。終盤、二人が出会ったシーンがでてくるのですが、10年の物語を観てきたがゆえに、運命的な出会いが鮮烈に感じられます。切ないけれど、どこか清々しさもあり、けっして悲しみだけで終わらない作品なのがまたグッときます。
グザビエ・ドラン監督の映画は、自分では買わない高級チョコレートのようで、美味しいんだけど複雑。全て分かりきれない作品が多いのですが、あるインタビューで監督が、「この映画は視線を大事にしている」とおっしゃっていて、それを気にして観たら、何となくこの映画で伝えたいことがわかった気がします。
◆わたしはロランス
公開:2013年
HP:https://www.uplink.co.jp/laurence
予告編:https://www.youtube.com/watch?v=AgvNdOVJAG0
配信レンタル:https://amzn.to/3rv52pz
恋は雨上がりのように
フレッシュクリームの差し出し方が素敵
タイトル的に恋愛模様を描いた作品だと思っていたのですが、主題は“諦めていた夢”でした。怪我で夢を断たれてしまった高校生と、偶然入ったファミレスのさえない店長が出会い、交友を深めていく中でまた夢に向かって走りだすという設定はLA LA LANDにも似ています。
カフェ好きの見所は、なにも頼んでないのにサービスでホットコーヒーを出してくれるファミレスの店長! 極めつけに手品でフレッシュクリームも出してくれます。今回のセレクトで唯一の邦画。個人的に実写化が大成功したと思う、数少ない作品の一つです。
◆恋は雨上がりのように
公開:2018年
HP:http://www.koiame-movie.com
予告編:https://www.youtube.com/watch?v=kwAgjGzt5io
配信レンタル:https://amzn.to/3rCGGdB
ロシュフォールの恋人たち
カフェの店員さんに一目惚れ
フランスのエスプリがきいたミュージカル
ゆっくりと踊りだし、サラッと物語が始まるオープニングや、カメラアングル、衣装や町並みの色合い、ベンチや鏡などの位置……、全てのシーンに緻密さが感じられ、フランスのエスプリな魅力があります。空気感が心地良い港町が舞台のミュージカルです。
全編を彩るミシェル・ルグランの素晴らしい楽曲たちはCMでも起用されているので耳にしたことある方も多いと思います。躍動感あふれる楽曲は、観ている人を自然と映画の世界へ引き込みます。個人的に「カフェの店員さんが凄く可愛い」と、観るたびに思っています……(笑)
◆ロシュフォールの恋人たち
公開:1967年
予告編:https://bit.ly/3p3yTDz
配信レンタル:https://amzn.to/3rqG4HO
ノッティングヒルの洋菓子店
スイーツ好き必見!ロンドン大人気デリ
「オットレンギ」が全面協力
スクリーンにところ狭しとならぶお菓子とパンは、スイーツ好き垂涎のラインナップ! これらはロンドンNO.1シェフ、ヨタム・オットレンギ率いる有名デリ「オットレンギ」が手がけています。原題が「LOVE SARAH」の本作。この世を去ってしまったサラと親友のイザベラが、ロンドンのノッティングヒルに洋菓子店を出すという夢を叶えるために、悪戦苦闘する周囲の美しい人々の人間模様を描いたヒューマンドラマです。後半は日本が物語のキーになるので、それも見所の一つ!
イギリス映画の楽しさは、年を重ねるごとに演技が味わい深くなる俳優が多いこと。本作で出演しているセリア・イムリーもどんどん魅力を増しているイギリス俳優の一人。彼女の魅力が最大限に引き出されていたコメディ映画「輝ける人生」もとてもオススメです。
◆ノッティングヒルの洋菓子店
公開:2021年
HP:https://nottinghill-movie.com
予告編:https://bit.ly/3aNsSG4
配信レンタル:https://amzn.to/3AyTfe5