2024年11月2日(土)〜3日(日)、東京・KANDA SQUAREにてコーヒーフェスティバル「COFFEE COLLECTION」が開催されます。今年も出店店舗を決める審査会「COFFEE COLLECTION DISCOVER」を開催し、Natural、Washed、Innovation部門ごとにエントリーした自家焙煎コーヒー店の豆を、国内外で活躍するジャッジがブラインドカッピングで審査しました。4名のジャッジによる合計得点で選ばれた各部門の上位2店舗は「COFFEE COLLECTION」の出店チケットを獲得します。

この記事では、Natural部門の審査会後に行ったジャッジへのインタビューを紹介。Natural部門の1位、2位と10位以内で印象的だったコーヒーについての評価、そして各ジャッジがどのような点を重視して審査を行ったのか、Natural部門を担当した粕谷哲さん(PHILOCOFFEA)、三木 隆真さん(KOFFEE MAMEYA -Kakeru-)、鈴木 康夫さん(TRUNK COFFEE)、勝本 宏達さん(Coffeedot)にお聞きしました。

 

◆Natural部門 TOP10

 

―カッピング審査、お疲れ様でした。得点を集計してトップ10がでました。1位はCoffee Wrightsです! まずはこちらのコーヒーについての感想を聞かせてください。

勝本さん:すごく綺麗なコーヒーだったという印象があります。酸が明るくてクリーンで、エチオピアらしさがわかりやすくあるコーヒー。美味しかったです。

三木さん:僕はマウスフィールの良いコーヒーが好きなんですが、そういった意味で、ポジティブなコメントを多く書いたコーヒーでした。フレーバーが明確でわかりやすく、美味しいコーヒーだなと思いました。

粕谷さん:僕はこのコーヒーに1番高く評価をつけました。甘さもアシディティもフレーバーも強度がしっかりあってよかったのと、フレーバー任せではない焙煎が個人的には好印象でした。そういう意味でまさに1位にふさわしいコーヒー。おめでとうございます。

康夫さん:シンプルに美味しかったですね。スイートネス、マウスフィール、酸の強度、アフターテイスト、それらのバランスがよくてコンプレックスにもってきている。フレーバーの強度もバランスよく出ていたので、カップのクオリティがめちゃくちゃ良かったです。

 

―では次に2位のEDIT COFFEE ROASTERYのコーヒーの感想をお願いします。

勝本さん:わかりやすいフレーバーでバランスがよかったと思います。酸の明るさは1位よりは少なくて、少し焙煎が進んでいるのかなと思いました。

三木さん:甘さと酸のバランス、全体的なバランスがすごく良かったです。少し感じた苦みのようなものは、コンプレックスを狙っているのかなと思いました。はっきりとはわからないですし、自分もスコアシートに「苦い」と書いてはいるんですが、それはポジティブに捉えていて、コンプレックスを作る構成要素になっているのかなと。特に冷めてから「コンプレックスを狙っている」と受け取りました。

粕谷さん:その可能性はありますね。俺はこのコーヒーに2番目に高い評価つけました。スイートでフレーバーも綺麗に出ている。アフターテストも長く残って個人的に好みでした。

Philocoffeaでは、わりと深く焙煎する豆もあるので苦味は特に気にならなかったですね。この豆のポテンシャルをそのまま素直に表現していて、個人的には好きな焙煎です。

康夫さん:コンプレックスでバランスが非常に良かったですね。僕もビターネスに関してはそこまでマイナスなイメージは持たなかったです。その中でもちゃんとフレーバーがあり、やっぱりバランスが大事だなと。焙煎で豆の良さ出し切っていると思いました。

 

―では次に、1位2位以外のトップ10に入った中で、好きだったコーヒーをそれぞれあげていただけますか。

三木さん:僕はエントリーナンバー「16」 のhazeru coffeeと「12」のABOUT US COFFEEに高得点をつけました。豆を見てみたら両方ともゲイシャで。ゲイシャ好きなんだなって改めて気づきました。ちょっと恥ずかしいな、なんか初心者みたい(笑)

真面目な話、「16」と「12」は甘さと酸のバランスが良くて、マウスフィールもアフターもよかったです。ワクワクしました。

粕谷さん:僕はエントリーナンバー「10」のcanaanのコーヒーが美味しかったですね。これもタミルか。俺はタミルが好きなんだな(笑)

三木さん:たしかにすごいフレーバーだった。

粕谷さん:インテンシティー(コーヒーの風味の強度)が強いけれど、全体的にバランスがとれていてよかったです。ただ、1位2位に比べると、冷めてきた時のドライな印象が惜しいなと思いました。

あとはトップ10の圏外だったけど、エントリーナンバー「20」のCOFFEE LAB KOMAMEYAがよかった。

―エントリー番号20番のCOFFEE LAB KOMAMEYAは「Colombia・Villa Betulia・Pink Bourbon」ですね。

粕谷さん:難しい豆を上手に焼いてきたな、という印象。こういう豆はユニークなフレーバーが走りがちなんだけど、甘さとマウスフィールがちゃんとサポートしていてバランスもいい。難しい豆をうまくこなしてる、というのが良かったですね。

康夫さん:僕は「15」のみちくさコーヒーロースターですね。コンプレックスで、この豆の良さを最大限に引き出した焙煎ができていると思いました。

勝本さん:僕はエントリーナンバー「16」のhazeru coffeeです。僕はこのコーヒーに1番高い点数つけました。クリーンカップが秀でているのと、酸がすごく明るくてすごく好きなコーヒーでした。

 

―ありがとうございました。それではここからNatural部門の審査を終えて、全体的な感想をお聞きします。

勝本さん:Natural部門ということで、フレーバーが強いものが多いかと思っていたのですが、意外とフレーバーに振ってないコーヒーが多かったように思いました。

三木さん:ディフェクトっぽいもの、酸がフレーバーをマスク(隠して)してしまっているものも多い印象でした。トップ10に入ったコーヒーはファンキーとか、すごくフルーティなものというよりは、甘さと酸のバランスがいいものが上位に残ったと思います。

康夫さん:明らかにグリーン(生豆)が古いとわかるものがあったり、焙煎が浅くてアンダーなもの(焙煎不足)なものが多いと感じました。やっぱり焙煎が上手なところは豆選びも上手です。それから気になったのは「味をとる練習をしているのか」ということ。味がとれる人は、豆選び、焙煎が的確にできている印象があります。

 

―康夫さんはこれまで何回かCOFFEE COLLECTION DISCOVERのジャッジをしていただいています。カテゴリが違うので一概には言えないと思いますが、今年、Natural部門で感じたこと、気づいたことはありますか。

康夫さん:Naturalと定義されるコーヒーのテイストが変わってきている感じがします。以前のようなナチュラルらしさが強いコーヒーというよりかは、発酵感が穏やかなコーヒーがほとんどです。

おそらくこの審査会にInnovation部門ができたことで、そういう豆はInnovation部門にでているのかなと。そうゆうこともあって、Natural部門にエントリーしている人たちは「この大会の勝ち方を学んできているな」と感じる豆のチョイスでした。

―粕谷さんも今年、2回目した。いかがでしたか?

粕谷さん:似たような豆が多く、ずば抜けてユニークというものが少なかった感じがしました。もうちょっと面白いのがあったらよかったですね。

それから、三木さんが言っていたみたいに、酸やマウスフィール、そのあたりの捉え方ができていないために、フレーバーや全体の印象が落ちてしまっている豆も多いと感じました。

この審査会は、「素晴らしい豆をよく焙煎して、1番美味しいシングルオリジンを作る」というのが趣旨ですよね。

自戒の意味も込めて言うと「豆はいいものを選べているのに、それに対して焙煎はどうなのだろう?」というコーヒーが半分以上を占めていたように思います。そこが本当にもったいなくて、本来はもっと点数が伸びただろうなというコーヒーがほとんどでした。

 

―今回、たくさんのコーヒーをカッピングしていただいたわけですが、Natural部門のコーヒーを審査するにあたり、それぞれのジャッジが重視した点はどのようなところだったでしょうか?

粕谷さん:僕は「甘さ」と「酸味」と「マウスフィール」です。Naturalは「フレーバーの強さ」とともに「甘さの強度」が出やすいです。なので、その「甘さの強度」と「アシディティ(酸)」のバランスがうまく取れているのかを確認しました。それから「甘さ」はあるけれど「マウスフィール」が損なわれていたりすると、「甘さ」を阻害しちゃうんですよね。そして「アフターテスト」。結局「バランス」という話になるんですが、そうゆうところでしょうか。

勝本さん:僕は「酸質」と「後味」の良さを特にみていました。結構、アンダーなものが多かったのとスコーチング(焙煎豆の表面の焦げ)が目立つものがいくつかあって、そこは厳しく点数をつけました。

康夫さん:世の中のコーヒーもアンダーだらけですが、ここに出てきているコーヒーもアンダーなものが多かったですね。繰り返しになりますけど「まず味を取れているのか」。これは業界の課題だと思うんです。

僕が重視した点は「バランス」と「複雑性」です。Naturalはどうしても「フレーバー」が特徴的ですが、「フレーバー」だけにフォーカスせず、「フレーバー」が存在しながらも「スイートネス」や「マウスフィール」、「アフターテイスト」、それらを包括しているものに液体としての完成度の高さを感じました。その点で1位と2位のコーヒーはすごく良かったです。

三木さん:僕はいつも「酸味」と「甘さ」のバランスを気にしていて、そこにどこまで「マウスフィール」が伴っているかをみています。今回は、「フレーバー」があっても「甘さ」が少ないものが多かった。逆に上位に入っているところは「甘さ」があって、「フレーバー」も感じられて、美味しいコーヒーだなぁと思いました。

―Natural部門のジャッジのみなさん、ありがとうございました!
Washed部門の審査会後インタビューもお楽しみに!

 

審査会を勝ち抜いたコーヒー店とジャッジの店が集結する
「COFFEE COLLECTION 2024」開催!

2024年11月2日(土)〜3日(日)、「COFFEE COLLECTION 2024」が開催されます。このコーヒーフェスティバルの最大の特徴は、総エントリー数104のロースターから、厳正なる審査を経て選ばれた店舗6店と、ジャッジをつとめた店舗が集結すること。

高品質な豆の選定、焙煎、抽出など、カップ一杯のコーヒーになるまでのすべて工程において、“こだわりと情熱”をもって作られた世界トップクラスの“シングルオリジンコーヒー”を味わうことができます。

また豪華登壇者を招いたコーヒーの知識を深めるセミナーも開催予定。ぜひ世界最先端のコーヒー体験をお楽しみください。

◆日時
2024年11月2日(土)11:00〜18:00、3日(日) 11:00〜17:00

◆会場
第一会場:KANDA SQUARE(東京都千代田区神田錦町2丁目2−1)
第二会場: ONCA COFFEE 神田店(東京都千代田区神田錦町3-1 安田シーケンスタワー JINS東京本社1階、2階)

◆HP
http://coffeecollection.tokyo

◆Instagram
https://www.instagram.com/coffeecollectionofficial

◆X
https://x.com/COFFEECLC

審査会・会場協力:COUZOU
Photo: Shota Matsushima
Interview & Writing : Ayako Oi

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COFFEE COLLECTION DISCOVER 2024 「Washed部門」 審査会後・インタビュー

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